山下 裕史朗
NPO法人くるめSTP理事(久留米大学医学部小児科准教授)
近年、ADHDをはじめとする発達障害のある子どもたちへの対応がわが国の学校教育における大きな課題となっています。平成15年の文部科学省からの報告によると、このような子どもたちは小中学校の通常の学級に約6.3%在籍していると推定されており、多くの子どもたちが学習や対人関係のつまずきなどから学校生活で不適応をきたしていると考えられます。より良い対応のためには、教育・医療・保健・福祉等の関係機関の連携推進による包括的な支援体制の構築が求められていますが、その具体的、効果的な方法については明確にされておりません。
私は、米国ニューヨーク州立大学バッファロー校でADHDの子どもたちと家族にすばらしい包括的治療をされているぺラム教授と2003年に出会いました。ホームページに紹介されていた実践に目が釘付けになり、バッファローでサマートリートメントプログラム(STP)の研修を5週間させていただきました。その後、2005年に久留米でSTPをやってみないかとペラム教授に強く勧められました。バッファロースタッフや久留米市教育委員会、熱心な教師の皆様、スクールカウンセラーとして活躍している臨床心理士のグループ、久留米大学文学部心理学科学生、松石豊次郎主任教授(くるめSTP実行委員長)はじめ小児科神経グループや看護学科の仲間が、立ち上げに賛同してくれました。
ADHDの子どもたちが学校生活によりよく適応するために必要な学習やスポーツ、対人関係等のスキル獲得や自分の感情をコントロールする力を育成することを目的として、STP実行委員会を発足し、アメリカのSTPを日本の現状にあったものに修正した2週間のSTPを創り上げるまでに数年かかりました。その後、より広範囲にADHDに対する理解啓発を推進するとともに、発達障害を理解し支援しようとする多くの人々の参画機会を確保し、団体としての健全な発展と活動の継続を可能にするために、特定非営利活動法人格の取得が必要であるということを認識し、平成20年にNPO法人くるめSTP(理事長 向笠章子)を設立しました。私たちが学んできたことをひとりでも多くの方々に知っていただき、日本各地でSTPが始まることを夢見て、本ウェブサイトを立ち上げました。皆様のご意見をお待ちしております。
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